製造概要

 ここでは当工場の加工、製造の特徴であり要点である『香り温存加工』、『極小ロット生産』について記します。

◎香り温存加工

香り温存加工非公開画像②

 当社代表が以前ジャムの製造をする工場で働いていた際にとてももったいないと感じていたものがありました。“香り”です。ジャムの製造中は工場中にうっとりするような良い香りがします。それはそれで私は凄く良かったのですが、このジャムを食べるお客さんはどうなのか?私が吸っちゃってる分お客さんに届ける香りが減る、そしてそれは商品力の低下になってはいないか?もったいないな・・・。と考えていたのです。

 それから紆余曲折の後、自分で工場を立ち上げジャム作りをすることに決めたときにこの“もったいない”を解消する加工をしようと考えました。そして思考と試験を繰り返して作り上げた加工法が“香り温存加工”です。

 

 香りはその物体に含まれている香気成分が揮発し嗅覚に結びついて初めて香るものです。ここでは主に果実を念頭においておりますが、どの果実において実に多種の香気成分を放ちます。それらが織りなしてその果実の香りと私たちは認識します。

 ジャムの製造過程では加工、殺菌の過程において果実混合物(果実に砂糖など他の原料を加えた状態の物)を加熱しますがこの加熱が香りに非常に大きな影響を与えます。具体的には香気成分の『揮発』と『変化』です。 

 

加熱と香気成分の揮発のイメージ図

○揮発

 香気成分はそれぞれ揮発しやすい温度条件が異なります。図に示したのは果実に含まれる複数の香気成分が加熱に伴って揮発していく様のイメージ図です。常温でも揮発はしますが加熱に伴いその量はそれぞれ増していきます。ただ香気成分によって揮発のしやすさが異なるので増え方も異なります。さらにある程度出てしまうと逆に減っていきます。香気成分も物質であり有限だからです。料理をする方なら感じたことがあると思いますが加熱していくと香りが変わっていくのはこのような要因が大きいと考えられます。図で言うと加熱時間に伴い各香気成分揮発量の総量(その時点で感じる香り)に対して香気成分1,2,3の構成比が変わっていき、感じる香りも変わっていくといったイメージです。

 そこで当工場が重視しているのが加熱前の常温状態で揮発している香気成分をなるべく温存したまま加工することです。それにより生の状態の香りも活きた香りが感じられ、さらに香りの量(強さ)も維持されたジャムに仕上げることを目指しています。

 そしてそのために行っていることが香気成分をなるべく逃がさないように加熱する閉鎖加熱です。当工場の加熱工程は比較的複雑なのですが、その要所において閉鎖空間での加熱を行っております。大気中から遮断された空間で加熱し、なるべく揮発も消失も抑える、といった加熱方法です。

○変化

 熱によって果実から香気成分が揮発するのと同時に、香気成分によっては違う成分に変わってしまう物もあります。これは2パターンあり、熱による酸化と分解です。この変化への対処については加熱時間の適正化としています。加工工程全体について果実に過剰な熱を加えないようにしています。もちろん衛生面や香気成分以外への加熱の利点は十分に実現しなくてはいけないのでバランスをとりながら行っているものです。

 

 以上が香り温存加工の要点の概要です。この他にも原料や加熱以外の部分での加工法も含め素材の香りを活かすための工程が組まれており、香り温存加工は各作業横断的な加工法です。当工場がおいしさづくりのため最重要視していることは素材そのものの香りを活かすこと。その方法として現状行っているのがこの工法であり、未だ道半ばだと思います。他の要素との折り合いがつけば変えたい部分などもあります。常に観測、そして実験、たまに研究を通して更新させています。

◎極小ロット生産

最小ロット原材料量②

 「どこも試作品は少量で作るけれどその次のステップのハードルが高いとどうしても踏み出しにくい」、「何百、何千本という量でしか依頼できないのではあまりにリスクは高いし頼みにくいのではないか」、という思いを持っておりこの極小ロット生産はどうしても料金的に現実的な範囲で実現したかったものです。

 

 当工場の最小ロットは主原料重量にして1kgからとしています。1kgというのは主原料の種類・状況、ジャムの種類、配合などにもよりますが150ml瓶にすると製造量で6~12本程となります(製造量全てが納品されるわけではありません。詳しくは[▷受託料金]をご覧ください)。受注ロットの大きさに応じて料金は変わるので最小ロットでの受注は比較的に高めな料金設定となってはいますがそれでも非現実的な料金設定ではないと思います。

 

実験試作

 画像は当工場が内部的に行っている実験試作で作られたジャムたちです。実験試作では同じ原料であっても様々なアプローチから仕様を定めて比較するので一度に様々な主原料を何種類もの仕様で作ります。画像の実験試作の際は1度に30種類のジャムを作っています。ポイントはこの仕様の異なる一つひとつ全てが本製造工程と同じ工程で作っているということです。機器については一部は少量製造に合わせた物を使うなどしていますが、原料の洗浄工程や加熱殺菌工程、上記の香り温存加工など主たる工程、設備、機器は本製造と同様に製造しています。1瓶から本製造工程で作ることも可能ということです。これにより通常は試作などの少量生産の場合は別のライン、またはほぼ手作りで行い仕様決定後に本製造用の工程に適正化をするのですが、当工場では試作も本製造と同じく作ることができるので試作品と本製造品のブレがありません。試作品にご納得いただいた後に本製造をご依頼いただけた際に工程の確認、修正などがほぼ必要なく即応できます

 

 この極小ロット生産をできる要因はいくつかあります。

要因①専用の製造工程、機器、設備

 ただ依頼を請けてジャムを作るためではなく、もともと極小ロット生産という価値を提供できるようにするために工法を作り、そのための機器を揃え、設備を造設したからです。どちらかというと当工場の体制自体が少量シフトであり、大きなロットのご依頼も大歓迎でありますが、この場合はロットを分けて製造することになります。料金もそれに応じるので[▷受託料金]を参考にしてください。

要因②各種取り交わしの短縮、請け負う業務の範囲

 ご検討(依頼)者様との各種取り交わしや、請け負う業務の範囲に関してまで運営上において様々なコスト削減を行っています。

各種取り交わし

 ご検討者様にとって必要な情報の多くをこのHP に記載し、認識の齟齬の防止や実際のやり取りに費やすコストを削減しています。もちろん疑問点・ご相談などはお気軽にお問い合わせください。お問い合わせ、ご依頼は各専用フォーム、打ち合わせはメールにより行うことを基本としています。

 ○業務の範囲

 打ち合わせで決定した仕様のジャムを製造し、瓶に充填した物を箱詰め、納品するまでのセミパッケージの加工業務を請け負っています。ラベルの制作・貼り付け、キャップシールの装着は請け負っておりません。原材料表示などの食品表示については内容の情報を提供する形で対応しております。

 

 以上が極小ロット生産の要点の概要です。極小ロット生産を可能としたことによりご依頼者様へ大きく2つの貢献ができると考えています。1つ目に、用途の幅が広がります。低費用で本製造品質の試作品作り、商品化のための試験販売、イベント用、贈り物用、好きな果実で自分用、などなど。2つ目に全体の工程の短縮により短納期が可能なので納期の融通が利き、果実の旬や商機を逃さないよう納品できます。

 これらによって数千円からフルオーダーで本製造のオリジナルジャムを手軽に作っていただくことができます。実際に極小ロットの本製造をしてみた過程は[▷最小ロットで製造してみた]をご覧ください。料金試算もしております。ジャムの加工委託のハードルを大幅に下げられたと考えています。思いのままにご活用ください。 

 以上が製造概要となります。当工場としてお客様にお選びいただけるように割とメリハリの利いた全体方針の下、加工・製造による価値提供の追求をしていると自覚しております。上記のようなメリットを提供できるのと同時に、[▷ご依頼にあたって]に記しているように出来ないこと、至らないところもあります。他の製造業者様と比較してもそれぞれ特徴がある中で当工場を候補に選んでいただけるようこの先も理想を持ちつつ良い感じに妥協して、バランスをとって現実に落とし込み、ご依頼者様に価値を提供できるように各要素を更新していく考えです。

 

※衛生管理もまたこの製造という概念に一部組み込んでいるのですが[▷衛生管理]でお示ししているのでここでは省きました。