フルオーダーでの加工をお請けしているので瓶容量や糖度・硬さなどの各仕様についてはご希望に応じてご相談、ご提案もいたしますがご依頼後の取り交わしの中で最終的にはご依頼者様にお決めいただきます。ただ、各仕様をゼロから全てお決めいただくのは中々の手間です。そこで各種ジャムにおいて当工場基本の仕様を予め定めてあり、そこに対してご依頼者様のご意向を踏まえて各仕様を変更していく形としております。ですので例えば、仕様の変更が全く無い場合においてはお送りいただいた主原料でご指定の種類のジャムを当工場の基本仕様で製造いたします。
◎基本仕様について
お預かりした主原料をおいしいジャムに加工することが第一義です。ただ、ジャムはそれ単体ではなく何かと合わせて食すものなのでその何かによって適した仕様があります。当工場ではどの種類のジャムもトーストに塗って食すときによりおいしくなることを基準に『基本仕様』としています。ジャムとしてのおいしさの要素を『甘味』、『食感』、『香り』の3つに絞り、それらの要素が織りなしてトーストとの相性が良くなるように仕様を定めたものです。
さらに、当工場では日頃から上記のようなおいしさを求めて考察と実験を経て新しい加工法の開発なども行っており、そういった知見も基本仕様にいち早く導入しています。つまり基本仕様は『基本』でありながら『最新』でもあります。もちろん基本仕様でご依頼いただいた際にも加工の仕方はご同意いただいたうえで進めてまいります。
※当工場では普段から行っている実験試作はこのトースト基準で行っています。
※おいしさの捉え方は人それぞれであります。この基本仕様はあくまで当工場としての捉え方であって一つの例でしかないことを承知しております。ジャムをどのような目的で作りどのようなイメージを基に各仕様を定めるかは設備や技術、衛生的に可能な範囲内であれば自由なので柔軟に対応いたします。
基本仕様における3要素をどのように考え定めているのかを以下に記しますのでご参考にしてください。
おいしさ要素① 甘味
少し甘めに感じるかもしれません。最近はかなり糖度の低いジャムも増えてきていますのでそれらと比べると甘めです。主原料の種類にもよりますがそれでも糖度としては低糖度に分類される45~50度ほどを基準にしています。
トーストは焦げの香ばしさが魅力ですがそれと共に苦味があります。苦味は甘味で抑制される味覚ですので甘味を効かせることにより苦味を適度に抑えることができます。そして甘みはそれだけでは飽きやすいですが、ほのかに苦みが効くことにより飽きが抑制され初期の強いおいしい感覚が持続します。このようにお互いが上手く作用し合うバランスをとるようにしています。ちなみにヨーグルトに合わせるのならもう少し糖度を上げたほうが良いです。ヨーグルトは酸味が強いのでそのほうが合うでしょう。紅茶と合わせるならさらに上げたほうが総合的に香りとのバランスが良好です。
それと、甘味が弱いとたくさん使ってしまってすぐに終わってしまいます。
おいしさ要素② 食感
少々やわらかめです。いくつか理由があります。実験試作と試食を繰り返した結果、やわらかいほうがやや香りの放ちが良好なこと、トーストの構造(表面と内部の違い)と合わせた際に口内調味が良好なこと、加工の際にやわらかいほうが有利なこと、などです。食感はそれ単体というより他の要素をより活かし、バランスよく仕上げるための要素としています。もちろん固めだからこそのメリット、やわらかめであることのデメリットもありますが、総合的にやわらかめが有利であるという判断であります。
それと、やわらかいと塗りやすくて無駄に使い過ぎなくて良い感じです。
おいしさ要素③ 香り
こちらについてはトーストというよりも純粋にジャムとしてのおいしさの最重要要素だと考えています。ジャムにとって主たる原料である果実類は数ある食材の中でも香りが強く華やかな食品群です。この特徴的な香りをいかに活かし、表現できるかがおいしいジャム作りの要点であり、受託加工としての技術の見せ所だと考えております。
香りの素である香気成分は加工の過程で『揮発』さらに『変化』します。
○揮発
香るということは香気成分がジャムから揮発し放たれているということで、香気成分も物質なので放たれれば減り、香りは弱まります。
○変化
香気成分の中には加熱によりその成分自体が変わってしまうものもあります。
当工場では加工の際には香りの揮発と変化をなるべく抑え、食べる際には逆に揮発しやすくするために『香り温存加工』と銘した加工法を行っています。これは例えれば、〇〇ジャムの香りのするジャムではなく、ご依頼者様の畑で作られた〇〇の香りがするジャムを作ることを指針とした加工法です。
香り温存加工については[▷製造概要]にてもう少し詳しく語っているのでご興味がありましたらどうぞ。
おいしさの要素は他にも様々ありますし複雑に絡み合います。そういった中で受託加工として、そして当工場として何をどう重視しているのか、ご依頼者様が加工委託先を検討するご参考にしていただければと考え簡単にではありますが記しました。
あくまで上記は、誰にとっても満点なおいしさというものはありはしないなかで当工場としてのおいしさの捉え方、おいしさづくりの指針を示したものです。各要素、仕様は可能な範囲ご要望にお応えできます。また、ご希望とあれば目的、味わいのイメージに合わたご提案などもさせていただきますので是非ご検討ください。