極小ロット生産について

 当工場では他ではちょっと見かけない程の極小ロットの製造も請け負っていますが、この事についてご質問をお受けすることが多いので少しこちらで補足いたします。

 

 なぜこの極少量からお受けしているかですが、大きく2つ理由があります。

 

1…商用以外の用途としての需要を開拓したい。

 催事、イベント、贈答品としてその時限りのオリジナルジャムというのも良いのではないかと思うのです。もちろんその催しのテーマに合ってこそです。例えば農産物の収穫に合わせたイベントであれば、もちろん主役はその農産物自体ですが、そのバリエーションを増やす一助になると考えます。それに瓶詰製品が並んでいる光景は見栄えもします。また、酒蔵やワイナリー、カフェなどの催事でもそれぞれを原料としたジャムは面白いのではないでしょうか。そしてそういった用途ではあまり多くの数量は必要ないかと思います。

 また、果実が好きな方は多いですがその果実を使ったオリジナルジャムがちゃんとした管理の下、手軽に作ってくれるところがあればそれもまた良いのではないかと考えました。また、果実はあまり日持ちもしないものが多いので何かの機会に大量にもらってしまった時など食べきれない分はジャムにすれば長く楽しめます。

 こういったどちらかというと日常的なシーンにもっとジャムが進出していくには極小ロット生産が必要と考えました。

 

2…商用としても少ない量ならではの価値がある。

 受託料金のページにあるようにどうしても小量なほど割高となります。ちゃんと利益を得るためには大きなロットで作ってしっかり売っていただいた方が有利です。ただし、売れる商品は育てるものだとも考えています。「よし、これだ!」と意気込んで売ってみても売れるかどうかは売ってみないとわからないものではないでしょうか。ならば売ってみればいいのです、ちょっとだけ。そうしてお客様の反応を得て改善を施して、また売って、改善を施して…。この繰り返しで商品は育ち、売れ行きも伸びていく。そしてこの過程を❝低リスクで❞、❝早く❞、❝手軽に❞行うには極小ロットは役に立つ。

低リスク→もし期待からはずれ売れ行きが良くなくとも少量しか作ってないなら損害は少ない。販売撤退するにしても、拡大するにしても実際の売れ行きを見てから判断できるのでリスクが低い。

早く→大量に作ってしまうと売り切って次の改善後の新商品を試すのに時間が掛かる。商品の育成に無駄な時間が掛かる。

手軽に→規模の大きくはない事業者様では加工品に向けられる原料の量も限られると思いますので、特にこういった少しの量でも作れるのはお手軽なのではないかと考えます。

 

 もちろん大きなロットでのご依頼も大歓迎です。当工場はもともと極小ロット生産も可能なように工程や機器、設備も造っておりロットの大きさに関係なくほぼ同じ工程、機器(一部生産量によって変えている)、設備を使用し製造しておりますので衛生や品質の管理においてもロットの大きさに関係なく同水準で製造しております。

 

 ジャムの原料、特に果実類はそのままで十分においしいので肉や魚、野菜類に比べると加工品としての利用割合はまだ少ないと思っています。ジャムは果実の加工品としてはお客様としても馴染みが良いですし、何より生の状態と販売の❝時期❞、❝場所❞、❝価格❞を変えることができ、これは商売としての意味はとても大きいと思います。果実もジャムも消費拡大のポテンシャルはまだまだ大きいと感じており、そこを掘り起こすには極小ロット生産、そしてジャム自体の進化も必要と思い、当工場でも香り温存加工や【果実×オリーブオイル】ジャムなども行っているのです。