当工場では異常な極小ロット生産を得意としているのですが、そもそも工場の規模も極小であります。現状では工場稼働1日の最大生産量は諸々良い感じの条件で100kg程となっております。これもかなり無理した数字で、小さいロットの生産予定が多いと途端に少なくなる。これは生産効率の問題で如何ともし難い。当工場は主原料量1kgから受注しているし、これ自体は確かにやっていけるのだけどやはり効率は悪くなってしまう。経営的には単価が安くなるとは言えそれでも大きなロットを受注して製造した方が何かと有利です。ただ、やりたいんですよね、極小ロット生産。こちらに書いた理由の他にも2つあります。
1つ。単純に色々なジャム作るのが楽しいんです。もちろんご依頼いただいた製品を製造するのだし、品質、衛生管理など気を配るところが多いしプレッシャーも感じるのだけど、“加工”という作業が楽しい。自分の手によってどんどん形を変え、色を変え、味が変わっていく食物たち。割と難儀でドキドキの加熱工程。完成時の達成感。これがロットが小さいといろんな原料でやれるわけです。体力的にはキツイですけど。
2つ。エントロピーは増大していくものです。これは仕方ない。エネルギーだけじゃなくて、人の認識でもそうなのではないかなと。一つの概念が生まれてそれがしっかり受け入れられたなら今度はどんどん広がっていく。あ、ジャムの話です。昔々ジャムが生まれてそれから現在に至るまでなんだかんだあってジャムという概念は人々に受け入れられ残っているわけです。時代を経て、地域を巡って広がり続けるその間にその時代、その地域ごといろいろなジャムがる作られた事でしょう。そして現在では一体何種類あるのかはさっぱりわかりませんがとんでもない数はあるのでしょう。当工場の営業範囲である日本国内に目を移せば、この先ジャムの種類は増えるのだろうか?増えるでしょう。近年では農業技術の発達によりどんどん新品種の果実が生まれています。さらに当工場でジャムとして扱う範囲で言えばバター系のジャム、ミルク系のジャム、オールフルーツ系のジャムなども生まれ人気です。さらにさらに果実の形を残すプレザーブ系も色々なタイプのものを見かけるようになりました。これはつまり横軸(原料の種類の増加)、縦軸(ジャムのジャンルの増加)、奥行(加工方法の進化)と立体的にジャムという概念が広がっているわけです。広がった概念の空白を埋める行為こそ新商品開発なわけだから種類は増え続ける。で、消費量は?というとあまり増えるようには思えない。人口は減り続けているし。食習慣の変化はあるかもしれないけれどそれでも各種類ごと現存の消費量を維持したまま種類の増加を取り込めるほど増えることはないでしょう。お米おいしいし。つまりは一つの種類のジャムに対する需要は減っていくと見るのが素直な見方かと思うのです。ですので生産側としてもそれに合わせてどんどん小ロットにシフトせざるおえない。そこにきっと商機がある!
と、いった勝手な視点から極小ロットをやりたがるジャム工場オリーブとたまごに未来はあるのか!?(タイトルつけて書き出してみたら全然関係ない話になってしまいました)。